* 雪組 / 壮一帆・晴華みどり / 日本青年館 / 2004-02
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どよよんと暗い話かと思いきや(ロシアものは大概暗くなりがちなものですが)観劇後の後味はさわやかでした。
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壮一帆さん主演。
ご承知の通り、壮さんは私の中では5本の指に入るほどのお好みジェンヌ(何だこの言葉)ですので、ファンモード炸裂です。
太田先生で、しかも箙さん出演ですか。
それはすなわち(?)コメディってことなのであろうか。
…ということはなく。私の短絡的思考は敗北しました。でも不思議に随所で笑いをとる箙さん。
太田先生のシリアスものというと…最近では瀬奈さん主演の『二都物語』がありましたが、個人的には今回の『送られなかった手紙』の方が後味が良くて(比較すると、の話ですけど)好きですな。
見終わった後、「え? なんで?」という感想を持ってしまうという点では同じ…と言えば同じなのですが、程度が違うというか。『手紙』では「まーよくわからんけど良かったね」と思えました。うまく説明できないのよ…もごごご
何故手紙が送られなかったかは、見ればわかります、というようなことを、太田先生はプログラムに書いてらっしゃいましたが。
えーと、…良くわからないんですけど。
単に機会が無くて出しそびれた…ってことで良いのかしら?
おばかな発言でしたら笑って…。
「送られなかった手紙」は物語を進めるきっかけ(潤滑剤? 何か違うかも…)であっただけで、太田先生の言うもう1つの主題の方を強く出したかったのかな~と思いました。
が、しかし。
私が最も強く感じたのは、「自分に合わないなぁ」と思うことをやっても、結局上手くいかないのね…ということでございました。
というわけで、寒さに極端に弱いくせに、冬のスポーツにムリヤリ挑戦するのはもうやめようかなと思いました。(こじつけです)
ボリス・アレクサンドロヴィッチ・ドミトリー(壮さん)
名門貴族のお坊ちゃまなのですが…現体制を批判するような詩を書き散らし、女性にだらしなく、酔っ払って大騒ぎしたりしてしまうばか息子(言っちゃった…) お母さんのいないところでは陽気にばかやっちゃうのに、お母さんの前ではしゅん…としておとなしいところが何だか笑えます。
プーシキンがモデルだそうです。彼の書いた詩が、革命士官のバイブルとして大流行。でも皇帝派にとっては面白くないので、そのせいで左遷やら謹慎やら流刑やら。結構波乱万丈の人生を送ってらっしゃいます。マーリヤのことは、ずっと想っていたようですが、彼女が結婚したことを知りショックを受けます。自分の保身のために(だと思うんですが)しぶしぶ皇帝に従う意思を見せたために、革命士官の1人の妻となっていたマーリヤに軽蔑されてしまいます。夫の流刑地シベリアに向かうというマーリヤに、激励する詩を書いて持って行きますが、受け取ってもらえませんでした。またまたショックを受けたドミトリーは、それまでの自分の生き方を改めようと考え、ナターリヤと結婚。慣れない仕事で疲れ、そこに妻の浮気騒ぎ。実際は、ドミトリーが邪魔な皇太子一味にはめられていたのですが…。夫の名誉をかけて、浮気相手とされるダンテス少佐と決闘、そして負傷。大切なのは、何をしたかではなく、どのように生きようとしたか…だそうです。だったかな。
正直、お芝居の出来に関してはあまり期待しておらず…。
スターの小部屋で見て、「ずいぶん調子にのっているみたいだが大丈夫なのかしら」と思ってハラハラしておりました。まあ、2時間お姿を見ていられるだけでも楽しいだろうと。
でもでも~ 歌もセリフも落ち着いていて伸びやかで、とても良い雰囲気でしたし、嬉しい期待はずれ(?)でございました! ロシア貴族のお衣装も似合っていたし(侍従の白髪かつらも面白くて良かった)美しい人は特だな~と思いましたわ~。
落ち着いた、低めの声のセリフが耳に心地よく、ディディエ(@ロマパリ)と比べて発声や滑舌がずいぶん良くなったな~と思いました(ディディエのときも、随分上手くなったと感心したのですが) 歌声もステキでしたし、声が良い人ってポイント高いわよね~♪♪
ただ、興奮して声が高くなると、あぁ~何言ってるのかよくわからないのだ…。2幕後半、箙さんに怒りの捨てゼリフを吐くところは、「■※#%◎☆£!!」という感じでした… ごめんえりたん…。
あと死に際…死にそうなのに片手で自分の身体を起こせるとは。元気なんじゃないの(笑)
と、いろいろツッコミどころはあるのですが、とにかくステキだったのでした。
ちなみに、ミドルネームの「アレクサンドロヴィッチ」、これは「アレクサンドルの息子」という意味です。つまり、ドミトリーのお父さんはアレクサンドルさんなのです多分。説明せずにはいられない私だ~
マーリヤ・ヴォルコンスカヤ(晴華さん)
貴族のご令嬢。ドミトリーとマーリヤは相思相愛(古臭い書き方でしょうか…)でしたが、マーリヤは、ドミトリーの性格上、一緒にはいられないと感じ、求愛を拒否したのでした。
落ち着いた大人の女性~な演技が印象深かった晴華さん。『ホップスコッチ』でも壮さんの相手役でした。細身の男役と丸顔の娘役…好みのカップルですわ~(他に例を挙げだすと止まらないので自粛) 歌が1曲しかなかったのが残念です。ホップ~で歌声に惚れただけに。勿体無いわぁ~。
ヒロインといいつつ、ほとんど絡みがないのですが(ラブシーンも無いですし) 1幕前半、ドミトリーと楽しげに歌って踊る場面(束の間の幸せ…)、ほわ~とした雰囲気でよかったですね。なんとなく、もう退団された千紘れいかさんに似ているかも…セリフの言い方とか。
ご学友たち(麻愛さん、貴船さん、天勢さん)
良い友人たちじゃないの…。
ドミトリーがどんなにダメダメなことをしていても、変わらぬ友情で接してくれる方々。しかし、色んな場面で色んな役で登場するため、友人として出ているのか何なのか良くわからなくなってしまうのでした。いつの間にジプシーになっちゃったんだ~、とか…。人少ないから仕方ないのかもしれないけど…。
小部屋の対談では、壮さん、晴華さんと一緒に天勢さんが出演されてましたが、えーと、2番手と呼べる役ではなかったような。麻愛さんが良い味出してらっしゃいましたね~。
ドミトリーの家族のみなさん(千雅さん、一樹さん)
ドミトリーの母、千雅さん。素行の悪い息子に手をやいております。始終怒ってらっしゃいましたな…。
ドミトリーの伯父、一樹さん。ロシア一のお医者さんです。特にお医者さんらしい場面は無かったですがそうらしいです。
伯父さんは、ドミトリーの名声が羨ましかったので、決闘を止めなかった…それをずっと後悔していて、彼のことを考えると夜眠れなかった…。
後悔先に立たず…
皇太子一味(箙さん、神月さん、涼花さん)
ダンテス少佐、箙さん。ドミトリーが好きじゃないみたい。何かと…何だかいや~なことをします。最後、ドミトリーとの決闘で亡くなります。
ニコライ皇太子、神月さん。歌う皇太子です。歌声ステキです…。でも何故いきなり「ジョーカー♪」なのかは謎。ドミトリーの妻、ナターリヤがお気に入り。ドミトリーは何かと反抗的だし、ナターリヤとの仲を引き裂く邪魔なヤツだし、いなくなってくれると都合よいんだよな~。というわけで企んじゃいました。
ナターリヤ、涼花さん。ドミトリーの妻。冷たく見下したような表情が…かわいいじゃないの。慣れない侍従の仕事でよれよれなドミトリーを、冷ややかに見つめる姿がまた。…手伝ってあげてよ! 夫をドミトリーと呼ぶのも不思議なんですけどね。名前で呼んであげて…。
あとはそうですね…。
アマリヤ、湖城さん。ドミトリーが節操無く手を出した人妻の1人なんですが、総督の奥様(麻樹さん)にいやみを言う場面が滑稽で… 今回一番楽しかった場面でしたね。
コズロフ? の柊さん? (自信ない) 2幕、明るく陽気なお付き兵士。かわいいじゃないの~。ドミトリーがローテンションなので、余計に浮いてて楽しかった~(褒めてるのよ~)
最後は、太田先生お得意の、ショー部分なし…。まあ良いんですけど…もう少し見ていたかったわーと思ってしまうのでした。
全体の印象としては、壮さんがほとんど出突っぱりで、2番手がたっくさんいて盛り立てていた、という感じでしたね。わりと好きだわ~この話。