* 月組 / 彩輝直・瀬奈じゅん / 初風緑 / 宝塚大劇場 / 2005-02
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瀬奈さんがーー!!
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大劇場までハルバル見に行ってしまう気は元々はなかったのですが、運良く入手した無料航空券の使いみちに悩み(期限が迫っていたのですよ)、どうせならということで行ってまいりました。
見に行って良かった…!!
と思いました。大満足ですよ。
製作発表当初から話題づくりなのかヤケクソなのかわからない配役、ナドナド、話題に事欠かなかった月組エリザベートですが、結果的には良かったのかもしれん…と思ってしまいました。劇団の思うツボのようでいささか悔しいのですが。
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トート(彩輝さん)
正直あまり期待していなかったんですが(ごごごごめんなさい)、いーじゃないの!
やはり妖艶専科なのか…。
歌とかセリフとか、たまにちょっとつっこみたくなるところがあったのですが(どこかの場面の「んっふっふっふっふ」とか)、醸し出す雰囲気が、驚きの死の帝王でございましたよ。(「驚きの白さ」と同じ用法)
個人的には、妖しさ満点の彩輝さんが心にガツーーンと来ることは今まであまりなかったのです。そういう場面をよく振られているわりには。どちらかというと、爽やか好青年役の方が好きだったのですよ。でも今回、劇団が強硬手段に出てまで(あわわ~)彩輝さんにトートをやらせたかった理由がわかったような気がしました。最後にこの役で良かったのかな、と思いました。
ただ、この作品は何度も再演されて物語としては出来上がってしまっているので、退団作品特有の(宝塚風物詩とも言える)、卒業おめでとう場面が無いのは寂しいかなぁ…。藤井先生のショーでいうと、「組子で盛り上がってワーー」みたいな場面のことです。フィナーレの男役群舞のところの、大階段で初風さん、ゆうひさん、きりやんがタッチして去っていくところは少々うるっときましたけど。
カツラとかお衣装とか、似合っていて良かったですなぁ…。
黒と銀が混ざったカツラ、良かったです。髪の上の方を後ろでまとめている髪型(うまく描写できなくてすみません)がツボでした。
メイクは、メバリのあたりがちょっとアレだったんですが(アレって何ですか)、死神さんぽくてなかなか素敵でした。
あまり表情豊かなトートさんではないらしく。
フランツ&シシィの「扉を開けてくれ~」の場面、シシィに「出てってー!」と拒絶されるところ。私としては「がーーーん!」とショックをうけるトートがすごく見たかったのですけど(笑)、彩輝トートはあまりショックでないように見えて(私が)ショックでした。ショックというよりは、ちょっと怒っているようにも見えた…。そういうのもアリなのでしょうけど。
他にもまー色々あるのですけど、とにかく雰囲気勝ちなのかしら(笑)
立っているだけでもわわーーんと醸し出していて、なんだかクラクラしてしまったのでした。
エリザベート(瀬奈さん)
瀬奈さんがエリザベートに決まったときは、「おいおい…」と思って脱力しておったのですけども。
すみません、私は男役が演じる娘役にものすごく弱いことを忘れておりました。
すごくツボにきました…。あさこシシィ。
通して良かったけど、少女時代がちょうかわいかった。とけそうになりました。何なんじゃあの愛らしさは! まー元々がダンシなので、たまに(頻繁に?)とてもおとこらしーのですけども、いいのだ私はそういうのが好きなんだ。
歌は、すごく練習したんだろうな~と…涙出そうになりました。それでも、あんなに歌えるとは思わなくてですね…。やはり高音は苦しそうでしたが、とても綺麗に歌えていて感動いたしましたよ。声も女の子っぽくて、でもたまに瀬奈節が出ていて、それもまた良かった(笑)。ルドルフ葬儀のところは、いつもの瀬奈さん声になっておりましたね(力強かった…)。
一番好きな歌は、パレードで階段降りてくるときの「私だけに」です。陽気で、声も無理して出している風がなくてかわいかったです。本編では無理して出しているようだと言ってるみたいですが、…そんなことはないのですが、ちょっとドキドキしながら見てしまいました。
お衣装、どれもかわいかったのです。少女時代の、ピンクのドレスがかわいかったですな。でも、ああ、やはりダンシなのね(笑)
二の腕フェチとしては、たっくましー二の腕が拝めて嬉しかったですが、でもあんなに強調せんでもと思いました…。おおお…。胴もたくましいぞ…。新調のお衣装も多そうでしたし、もうちょっとなんとか出来なかったのかしら。服飾の魔術師である宝塚衣装部のプライドを見せていただきたかったですよ…。個人的には、そんなたくましさもたまらんのですが…。
エリザベートとしては…。
とても、エリザベートらしかったと思いますよ。精神病院の場面は、今まで何のためにあるのかよくわからなかったのですけど、今回は何だかよくわからないけど涙出ましたわ…。
でも、通して手に汗握って見ているような心地でしたので(後半はだいぶ落ち着いて見られましたが)、あまり客観的に見ることが出来ておりません…。東宝でまた見ることが出来たら、じっくり分析してみようと思います。
フランツ・ヨーゼフ(初風さん)
この方に関しては、見る前から「バッチリでしょうな!」と思っておりました。
その通り、さすが初風さん! なフランツ・ヨーゼフでしたよ。
しかしこの方は、何故こういう「女にふりまわされてしまう男」がこうもはまるのでしょうねぇ…(笑) 幸せ絶頂のときの笑顔が、本当に幸せそうなので、崩壊したあとの沈んだ面持ちがものすご~く痛々しいです。涙。
若人時代(?)の、前髪をぱらっと下ろしているフランツがかわいかったです。
口ひげ時代は、ちょっとおひげがふさふさしすぎな気もしないでもなかったですが、良かった!
歌は、全編通して素晴らしかったですよ…。ああ~ガイチさん~(目がハート)。
エリザベート暗殺前の、ルキーニの裁判の場面の初風さんが好きです。
ルキーニ(霧矢さん)
さすがチンピラ専科!(褒め言葉です一応)
花組エスペランサで、ヒゲ面きりやんに多いに目覚めたので、今回も楽しみにしておりました…。そして期待通りのおヒゲっぷりで素敵でした!
ルキーニは皆さん少々こきたない雰囲気にされるので…稀に「タカラヅカでそれはどーなのよ」と思ったりしてしまうのですが、きりやんのルキーニは良かったですな~。狂気っぷりとしては…もうすこしイッちゃってても良かったのかも、と思いますが、やはりタカラヅカですから上品にいきたいので(笑)、このくらいで丁度良いのではないかと。
とにかく歌声が力強くて良かったです。舞台に1人で出ているときもすごい存在感でしたし、群集と共に出ているときも埋もれることなく、「ルキーニ様はここに居るぞ!」な感じでした。
ルドルフ(大空さん)
見る前からお似合いなのはわかっていたのですが(笑)、予想通り、滅茶苦茶素敵な王子さまでしたよ…(目がハート)
メインは2幕の1場面しかないので、それまでが長かった…。出てくるのが待ち遠しかったです。ただその場面は出ずっぱりなので、場面中はやたら忙しいのですが(笑)
ママにすがる姿が痛々しかった…。ガンバレ息子。
革命の場面(?)、民衆を引き連れて舞台の中心で歌っている姿を見たら泣きそうになりました…大きく育ったなぁ…。歌も良かった! 良いことしか見つかりません!
革命家の面々。…は、実はあまり見ることが出来ていないのでまた今度(逃げ)。ミルクの場面は迫力があって良かったです、が、実はきりやんばかり見てしまったのでした。この公演からこの場面の演出が変わったそうです。前とどちらが良かったか…はよくわかりません。また今度考えます。(東宝版のが好きなんですよね~実は…)
磯野さん。政治家のうちのお1人。こ、この方をこんな使い方で…。なんかやたら贅沢だなぁ、と思ってしまいましたよ。さすがエリザベートだわ。シシィのお父さん役でも充分な方なのになぁ。
美々さん。皇太后ゾフィー。お顔、メイクはとても雰囲気が出ておりましたな~。晩年の老け方は恐ろしいほどでした。ドキドキ。でも美々さんは高音が美しい方なので、ゾフィーの低音で迫力バリバリな歌は辛そうでした…。エトワールは素晴らしかったです!
嘉月さん、マダム・ヴォルフ。圧倒されました~! 何なんだこの人!(笑) 歌も素晴らしかったし、見た目からしてケバケバしくて(褒めてます)すごかったっす。きりやんルキーニとのデュエットも聴きごたえありましたな~。
花瀬さん。シシィの姉、ヘレネ。か、かわいいですぞ…。そして、「世界の美女集合!」場面の和服姿が滅茶苦茶色っぽくて惚れました…。以前「なみだ橋えがお橋」でも感じましたが、花瀬さんの和装はホント綺麗です。
椎名さん。ヴィンディッシュ嬢。泣けましたが、もうちょっと! かも…。東宝に期待。ヴィンディッシュ嬢の側にいる、彩橋さんの表情・しぐさにズーーンと来ました。表現が難しいです。良かった。
楠さん、政治家のお1人。ソロまであるなんて~。感動。素敵だわ。彼女に関しては、私は姿を見るだけで感動するくらいなので客観的判断は出来ません(笑)
彩那さん、少年ルドルフ。かわいい~のだがもうちょっと…ですかね。こなすのに必死、なような印象を持ってしまいました。がんばれ、顔はすごく好きだ!(笑)
城咲さん。まずは黒天使。周囲皆男役な中で、1人体型が違う(ホッソリしている)のでそれだけで目立つのですが。蝋人形のような整った無表情さで、シャキシャキ踊っている姿が美しく。黒天使場面はクギヅケでしたよ。何なんですかあれは…(こればっかり)。顔が常に少々うつむき加減なのも良いですな! 無表情なのに憂いを帯びているというか…。
そしてマデレーネですよ。登場シーンから「なんだありゃ!」な雰囲気でした。バスタブにはまりつつ客席をじーっと見つめている姿が、もう、エロくさい!(褒めています) 申し訳ないがトリさんとかフランツさんなんて目に入りません。お魚さんしか見られません。 いやしかし、バスタブってほんとエロいですよね(笑)
そしてバスタブから立ち上がった! 何も着てなかった! なんてことはなかったですが(以前見たんですそういう舞台を)、…えーと、マデレーネさん制服。青いフリフリの中途半端丈な…何て呼ぶのですか? ベビードールとは違いますし。ともかく、何だかエロっちいお衣装。このお衣装、誰が着ていても「なんか恥ずかしーなオイ」と思ってたんですが、何でこんなに似合ってしまっているんですか城咲さん…。
そしてフランツをまんまと誘惑して、「陛下の寝室で」(笑)あんなことやこんなことをしてしまうわけなんですが、…フランツがころっといってしまう気持ちもわからんでもないと思ってしまいました…。この配役はホントすごいと思いました…。
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というわけで、今回特に印象深かったのは瀬奈さん、きりやん、そして城咲さんです。
ホント良かったわ…。
しかし、劇団はこの成功(と私は思う)に味を占めて、また主要娘役に男役を配してきたりしないだろうかと心配。個人的には嬉しいんだけど、そう頻繁にやられても困るのですよ。男役と娘役があってこその宝塚ですしね。私としてはどちらも応援したい。
瀬奈さんとしては、良い経験になったのではないかしらと…。本当大変だっただろうなーと思いますけども。そしてこの作品があったからこそ、次の男役がとても楽しみです。Jazzyなナントカ、ですか。その前に梅芸でありますけど見にいけそうにないので(すごく行きたいのですけど)(行きたいよう…)
フィナーレは、初風さんソロ銀橋、娘役+彩輝さんダンス、男役群舞、彩輝さん+瀬奈さんデュエットでした。
デュエット…。瀬奈さんの回転が男らしかった…とか、のけぞれてない…という十数年の蓄積には愛が募ったのですが。同行の方が見る前から心配されていて、見たあとも語りあったのですが(笑)、あのリフトは無くてもいいんじゃないかな~と思ったのでした。「どっこいしょ~」と持ち上げて「うんしょ、うんしょ」と回している…感じ。確かに重そうなんですけどね(ごめんなさいよ~) そんな無理せんでも、と。娘役との場面で何人かの娘役と絡んでみるとか~。
まーでも、こんなリフトも愛嬌ってことで(?)、がんばっていただきたいです。
パレード。
エトワールは美々さんです。うおお、すばらしい~! イキイキしていてすごく良かった。
紫城さんを中心に、彩那さんと…すいませんどなたかわかりませんでした。紫城さんのピンクのドレスが綺麗でした。「ゼンダ城」で檀ちゃんが着ていたものかも。違うかも。
さららん、北翔さんと…えーと…。真野さんかしら。こちらもわかりませんでした…。
ゆーひさん。いや~何度見ても素敵です。パレードでは、歌詞が「ママと僕は…」ではなく「キミと僕は…」になっているのですね。何故なんでしょか
きりやん。パレードではシマTではなくて軍服です。メイクが濃いのでなんだか迫力です。髪はリーゼント。
初風さん。いやんもう、何なの~(アナタがね) ニコニコしつつ歌っている姿には、見ている方も自然と笑顔になってしまいます。
瀬奈さん。↑にも書きましたが、ここの歌声が一番瀬奈さんらしくて好きです。
そして彩輝さん。羽が蝶型? 初めて見るような。退団なのねぇ…と思うと感慨深いです。
東京でも、観劇できることを願って。