* 花組 / 春野寿美礼・ふづき美世・彩吹真央 / 日本青年館 / 2005-01
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しっとりと切ない、平安時代の恋物語。
……と思っていたら、爆笑コメディーでした(ちょっと言い過ぎた)
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目がテン、を通りこして楽しくて仕方なかった公演でしたよ。
児玉先生大好きですわよ。
(でもこの方、今のままでは宝塚でしかやっていけないのではないだろうか…)
舞台は平安時代です。
友情と恋、そしてギャグが主題です。
と言ったら怒られそうなのでちゃんと書きます。
1幕の終わりまでは…というか2幕の途中までは、「この先どうなるんだろう~」とワクワクドキドキする展開なのですよ。ビジュアルも綺麗ですし。そして音楽も良いです! 雅楽って良いものですねぇ…。鼓の音も心地よく響きます。
ですが、虹人(春野さん)が帝の陰謀によって殺されたあと、樹(たつる、未涼さん)が囚われて帝の前に引き出されてからのドンデンガエシが…。
ドンデンガエシには定評がある(というか何というか)児玉先生ですが、今回も強烈です。それまでのしっとりとした雰囲気から一転、唐突にパンクロックです。それでなければ王家の紋章? それともゼウス(@舞夢)? スーパー歌舞伎?
奇抜なもこもこ髪型にスターバンド+ロングブーツな、その場の雰囲気には似つかわしくない春野さんが登場し、帝に説教をたれ始めるのです。
何様だ! 何様なのだ虹人!
私は大声で笑い出したかったのですが、周囲の皆さんは静かに鑑賞していらっしゃいましたので、息を止めて必死に耐えました。苦しさのあまり肩が震えて涙が出てしまいましたよ。
春野さんがハの字眉なのも楽しかった…。
笑う場面ではないのは勿論分かっているのですが、別にファンタジー(?)に持っていく必要はなかったのではないでしょうかね?
そんな、苦し紛れにしか思えない展開なのですが、不思議と後味は良いのでした。むしろ元気になりました。
(いいのかしらそれで…)
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虹人(春野さん)
元捨て子。がんばって、鼓の名手になった人。自分と一緒に拾われた鼓を愛用しています。その鼓は、天の鼓と呼ばれています。
親友の許婚(照葉、ふづきさん)に恋してしまい、想い焦がれるあまり、部屋に押しかけて一夜を共にしてしまうのです。その後、照葉中心に世界が回ってしまう虹人…。
私がイマイチ彼に共感できないのは、彼が照葉に夢中になってからは、幼なじみで親友で、そして照葉の許婚である樹(未涼さん)のことを全く気にかけていないところですよ。せめて「樹の許婚だし…云々」と悩む場面でもあれば良いのですが(あったかもしれませんが印象が薄い)罪悪感を大して感じられないのです。切なさやロマン(?)を見いだせなくて切のうございます。
そして突然のあの姿(笑)。亡霊? 皆に見えているのかな?
問題があるのは虹人のような気がするのだけど、何故か樹の方が立場弱くなっちゃっているし…。何だかなあ(笑)
役的には、何だかな~な虹人さんなのですが。
1幕の、楽しげにニコニコしながら舞う姿が素敵ですわ…。春野さんの満面の笑み、大好きです。そして、平安調のお衣装が似合う~!
素敵すぎる! 素敵すぎるぞ虹人!(笑)
照葉(ふづきさん)
笛で虹人をおとしたお方。そして、虹人の鼓におとされてしまいました(笑)
樹さんの許婚なのですけど、樹さんそっちのけで虹人の心配をする照葉さん…。虹人が殺され、樹が囚われたとの知らせを受けたときも、虹人の心配しかしていません。あんた~!
そして、樹が処刑のため連れ去られようとしているとき、帝にお願いするのは「鼓を壊すなら、わたくしも一緒に殺してください!」…違うでしょ~!
心遣いが足りんよ!
なんかボロクソに書いてしまいましたが…。
困り顔がかわいかったです(ハの字眉好き)。
出番がかなり少ないのですが。序盤の雰囲気あるたたずまいは良かったですな。
帝(彩吹さん)
「面白い!」が口癖。ことあるごとに言ってます。本当に面白いのかな?
コレクターなのです。楽器おたく。国中の名器と呼ばれる楽器を集めるのがシュミなのですよ。で、天の鼓に目をつけた帝。途中から天の鼓より虹人に興味が言ってしまっている気もしましたが、色々あくどいことをやって強引に鼓を手に入れようとします。
そして最後に、ものすごい格好の謎の人に説教され、改心する帝でありました。
いや~。面白い(笑)
ユミコさんは何やらせても上手いですなあ。迫力の悪役さんです。
悪役らしい「ぐはは」という感じの笑いが素敵でした。
春野さんとの歌合戦、良かったなぁ…。良いもの聴けましたわ。
伊吹(遠野さん)
虹人の幼なじみ。虹人のことを想っていますが、虹人は伊吹のことを妹としか思っていないようです。切ないのう。
照葉と通じてしまった虹人に対して、思わずきつく文句を言ってしまう場面は泣けます。
かわいいなあ…(ほわ~ん。)
虹人の腕につかまって、樹の婚約報告を嬉しそうに聞いている場面はほんわかしました。あの頃は幸せでしたね…(遠い目)
ソロも聴けて嬉しかったです。
フィナーレでは娘役さんの先頭で「あああ~」と歌ってらっしゃいましたが、この場面はちょっと歌いにくそうだったかも…。歌詞がないとやりづらいのかしら?
樹(未涼さん)
たつるさんです。虹人の幼なじみで、鼓の名手。帝が企てた鼓(+他の楽器)大会で虹人と争うことになり、どうしても勝ちたい樹は、帝のあくどい計画に加担してしまうのでした。
樹は、虹人と照葉が通じたことを知っていたのだったかな…。疑っているだけだったかな…。忘れてしまいました。
ともかく、かわいそうなお方です。彼は虹人にも照葉にも誠実だったと思うのですが(鼓大会での細工は別にして)、虹人も照葉もなんだか彼のことはそっちのけで。ヒドイですよね(笑)
帝改心後は、樹も都でうまくやっているようで、良かった良かった。
お衣装がメチャクチャお似合いでございますよ。
そして、声が良い! 歌声が気持ちよいです。立ち姿も美しいですな。
派手さがあるわけではない未涼さんですが、着実に輝きが増していっている印象です。今後も大期待。
源博雅(桐生さん)
帝の臣下。帝に服従がモットーです。ですが、帝のあまりの暴虐ぶりには、「それはヒドイです!」と意見します。正義に燃える格好良い男なのです。
1回意見して恐れがなくなったのか、帝が天の鼓を鳴らせなかったときは
「鼓1つ鳴らせず、どうして人間を治められましょう…」
と口が過ぎる言葉を残して去っていきます。とうとう帝に愛想が尽きてしまったのでしょうか、突然の変貌に驚いております。
とにかく格好良い男なのです。なかなか美味しい役でしたし。キャラ設定が安定していないような気もいたしましたが…。
声が、好青年っぽい爽やかな声がたまりません。
雰囲気が涼しげで良いですな~。
萬さん。虹人の養父役。良い味出しています。幕開きの酔っ払ってヨレヨレしている姿が素敵です。
夏美さん。鼓の師匠。素敵! ハッチさん大好き!(笑) 渋さが良いですし、舞うときのキレも大好きです。
翔さん。照葉の母。何故か笑いをとってしまうお方…。
悠真さん。帝の臣下。へいこらしてます。この方も、コメディーセンスありますよね。ナイスへいこらぶりです。
花純さん。照葉のお付き。この方がセリフしゃべっているのは初めて聞いた気がするのですが、…落ち着いていて優しげで、すごく良かったです! 良い声していらっしゃいます。姫様を諌める場面も良かったなぁ…。今後もセリフいっぱいあると良いなぁ。
珠さん。虹人の子供時代。かわいいですな~。ハツラツとした元気な演技が良かった! ふくれているところもかわいかったですな。目が力強いのが好きです。今後に期待!
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樹の告白によれば、天の鼓は普通の鼓だった訳で。
帝のハジかき事件~パンクロッカー登場の流れがよく理解できなかったので考察してみると:
(1)鼓は本当に天の鼓であり、運命的に虹人のもとにめぐってきた。
(2)鼓はタダの鼓であったが、虹人が鼓を大切にして頑張って稽古をするうちに、鼓の神様(?)が宿った。
(3)鼓はタダの鼓であったが、虹人が殺された後、虹人の怨念が取り付き、帝が鳴らすことを許さなかった
(4)鼓はタダの鼓であり、単に帝がヘタだったので鳴らせなかった
…とか?
虹人は何者だったのか:
(1)虹人は、実は鼓の神(?)の生まれ変わり(?)だった
(2)虹人はタダの人であったが、殺された後、鼓の神(?)があのようによみがえらせてくれた
(3)虹人はタダの人であったが、殺された後、自力で神となってよみがえった
(4)虹人はタダの人であり、あれは虹人ではない別の人だった
難しい…。どなたか教えてください。
劇中で説明されていたのだったら恥ずかしいですね…。
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(2005.01.11 追記)
何気なくパンフを見たら、「弁財天:舞城さん」との記載が。
舞城さん、舞ってました…。舞ってましたよ!
そういえば、鼓持って子供虹人と絡む場面もありましたよ!
弁財天だったのですか…。(全然わからなかったっす…)
その設定なら、鼓の件は何となく理解できたような…?
…でもやっぱり、あのスーパーもこもこスターバンドなお方は何なのか、よくわからないのでありました。